知られざる特技(金魚すくい編)
私、金魚すくいが得意なんです。
一つで、最低50匹はいけるほど ・・。
コツ・・それは金魚に向かって「念」を入れることです。
「大丈夫よ、入っておいでぇ」
そうすると金魚が暴れることなく私にすくわれてくれるんです。
そして、ザーッ、ザーッ、ザーッ ・・・ 。
あっという間におわんがいっぱいになってしまいます。
「ちょっと、ちょっと、奥さん、3匹以上は持ち帰られませんよ」
と決まって金魚すくい屋のおじさんは困惑顔です。
「大丈夫です〜、すくうのを楽しんでるだけですから」
だんだん周りに子供が集まってきて歓声が上がりはじめます。
「すっげーおばちゃん」、私も「すごいどぉ〜」と得意顔です。
そして、7年くらい前の出来事です。
金魚すくいの水槽の前に構えた私、
いつものように念を入れて見回すと、
金魚が二匹、私に語りかけているように見えました。
よく見てみると「ここ息苦しいから、連れて帰って」と訴えているようです。
黒のでめきんと赤白の小さな金魚です。
私はその二匹をもらって自宅に帰ることにしました。
自宅に帰って、水槽に入れられた金魚は快適そうに泳ぎまわります。
エサをあげるとき、「長生きしてねぇ」 と私は金魚たちによく語りかけました。
するとどうでしょう、
金魚たちは脱皮を繰り返し、数年後、20センチ程度にまで巨大化したのです。
ペットショップに相談したところ、お店に引き取ってもらうことになりました。
うっかり生き物を持って帰れない私なんです。
私の特技、金魚すくい編でした。
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